機械・材料
ボルトの強度区分「10.9」、はめあい公差「H7」、表面粗さ「Ra 1.6」、ベアリングの呼び番号「6203」。図面と現場で毎日使われている数字が、どのJISの、どんな試験と定義から出ているのかを遡ります。
ボルトの使用温度の上限は、300℃から150℃へ下がった — 刻印は同じまま、JIS B 1051の版だけが変わった
1991年版のJIS B 1051は備考で「300℃までの温度環境で使用できる」としていた。現行の2014年版は注記で使用温度範囲を−50℃〜+150℃とし、150℃を超えて300℃までは「材料の専門家からの助言を受ける」領域に変えた。同じ強度区分10.9の刻印でも、規格が請け合う温度は版で違う。その改正の経緯を原典から読む。
使用温度の上限 — 300℃(1991年版の備考)→−50℃〜+150℃(2014年版の注記1)JIS B 1051(1991年改正版および2014年版=ISO 898-1:2013と一致)塩ビ管の「VP」と「VU」は太さの違いではない — 外径は同じで、JIS K 6741が変えているのは厚さと設計圧力
呼び径50の塩ビ管は、VPもVUも外径60.0mm。違うのは厚さで、VPは4.1mm、VUは1.8mm。JIS K 6741:2016はVP=設計圧力0〜1.0MPa、VU=0〜0.6MPaと圧力で管を分けており、記号は太さではなく「見込んだ圧力」の名前である。その設計を原典から読む。
VP・VU(呼び径50はどちらも外径60.0mm。厚さはVP=4.1mm・VU=1.8mm)JIS K 6741:2016(硬質ポリ塩化ビニル管)M10のスパナは17mmか16mmか — 六角ボルトの二面幅は、JISの本体と附属書で割れている
M10六角ボルトの二面幅は、市場流通品(附属書品)が17mm、ISO整合の本体規格品が16mm。M12は19/18、M14は22/21、M22は32/34と、4サイズだけ新旧で食い違う。一般流通品はほぼ附属書品。JIS B 1002とJIS B 1180 附属書JAの関係を読む。
M10の二面幅 = 17mm(附属書)/16mm(本体規格)JIS B 1002:1985(二面幅の寸法・ISO 272:1982 MOD)/JIS B 1180:2014 附属書JAベアリング「6203」の03は15mmではない — 内径番号が17mmになる理由
深溝玉軸受6203の「03」は内径17mm。04以上は番号×5だが、00〜03だけは10・12・15・17mmと個別に定義される。呼び番号が保証するのは17×40×12mmの互換性で、基本動定格荷重はメーカーごとに10.1〜12.0kNと違う。
6203JIS B 1513(転がり軸受の呼び番号)図面の「φ20 H7」は何ミリか — JIS B 0401 のはめあい記号を規格まで遡る
φ20 H7 は 20.000〜20.021 mm。公差幅 21μm を決めているのは「7」=IT7 で、ゼロ位置を決めているのは「H」。同じ H7 でも φ100 なら幅は 35μm に変わる。JIS B 0401-1/-2:2016 の構造を一次資料で確認した。
φ20 H7 = +21/0 μmJIS B 0401-1:2016 / JIS B 0401-2:2016(ISO 286-1/-2 と IDT)六角レンチの「対辺4mm」は、ねじの呼び径ではなく穴の寸法で決まっている
M5の六角穴付きボルトを回すレンチは対辺4mm、M6は5mm、M8は6mm。呼び径と対辺は一定の差で連動しない。JIS B 1176とJIS B 4648まで遡り、二面幅sがどの寸法で、どんな許容差とはめあいで決まっているかを読む。
M6の対辺=5mmJIS B 1176:2014(六角穴付きボルト)「M8」だけではピッチが決まらない — 省略が情報を運ぶISOとJISの表記規則
「M8」の並目ピッチ1.25mmは、ISO 261とJIS B 0205-2の呼び径・ピッチ表で割り当てられた数字。ISO 965-1の表記規則では並目のピッチは省略してよく、その省略そのものが「並目である」という情報を運んでいる。
M8 × 1.25JIS B 0205-2:2001 / ISO 261:1998(一般用メートルねじ 全体系)ボルトの「10.9」は引張強さ1000MPaではない — JIS B 1051が定める呼び値と合格ライン
ボルト頭部の刻印「10.9」は呼び引張強さ1000MPa・呼び耐力900MPaを指すが、JIS B 1051:2014(ISO 898-1:2013と一致)が合否判定に使う最小引張強さは1040MPa、最小耐力は940MPaで、刻印の数字とは一致しない。その差がどこから来たかを出典にあたって追う。
強度区分 10.9JIS B 1051:2014(炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-強度区分を規定したボルト,小ねじ及び植込みボルト-並目ねじ及び細目ねじ)図面の「Ra 1.6」は何を測った数字か──JIS B 0601とカットオフ値0.8mm
図面に「Ra 1.6」とだけ書かれているとき、JIS B 0633:2001の既定によりカットオフ値λc=0.8mm、基準長さ0.8mm、評価長さ4mmが自動的に適用される。Ra 3.2はλc=2.5mm・評価長さ12.5mmで測られ、両者は同じ設定の測定値ではない。その構造を、規格の書誌情報と公開解説で確認した。
Ra 1.6(μm)JIS B 0601:2013(製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ)