IT・通信
「CAT6A」「HDMI 2.1」「USB PD 100W」「V30」。規格の名前が世代を表しているのか、性能を保証しているのか。何が必須で何が任意なのかを、策定団体の文書まで戻して読みます。
Wi-Fiの2.4GHzと5GHzの違いは速さではない — どちらも相部屋で、同居人が違う
2.4GHz帯(2400〜2497MHz)は電子レンジやBluetoothと同居するISMバンドで、13チャンネルのうち実質使えるのは3つ。5GHz帯はW52/W53/W56の3区分に分かれ、W53とW56は気象レーダー・航空レーダーと共用のためDFSが必須——レーダー波を検出すると1分間停波する。
2.4GHz帯=2400〜2497MHz/5GHz帯=W52(5150〜5250MHz)・W53(5250〜5350MHz)・W56(5470MHz〜)国内の使用条件は電波法・電波法施行規則が規定(W52の屋外利用は2018年の施行規則改正で条件付き解禁)1GBは1000MBか1024MBか — GBとGiB、規格が分けた二つの数え方
HDDの箱には1TB、Windowsでは931GB。同じ容量が違う数字になるのは、ストレージが十進(1GB=10⁹)、OSが二進(1GiB=2³⁰=1073741824)で数えるから。IEC 80000-13が分けたGBとGiB、ビットとバイトの違いを一次資料から読む。
1GB≠1GiB(10⁹≠2³⁰)IEC 80000-13:2025 / IEC 60027-2 Amd.2(IEC)画像の「350dpi」とは何を測った数字か——dpi・ppi・lpiの定義を遡る
画像の「350dpi」は精細さの絶対値ではない。dpiは1インチ(25.4mm)あたりの点の数で、出力サイズを決めて初めて値が決まる。dpi・ppi・lpiの違いと、Web96pxの根拠を一次資料まで、印刷350dpiの根拠を業界慣習まで遡った。
350dpi=175線×2商業印刷の慣習値。当サイトが確認できた範囲では、公的規格が定めた数値には行き着いていない「HDMI 2.1」は帯域でもケーブルでもなく、仕様書の版番号だという話
「HDMI 2.1」は帯域の保証でもケーブルの型番でもなく、2017年にHDMI Forumが出した仕様の版番号。48Gbpsを出すにはUltra High Speed認証ケーブルと機能の実装が要る。策定団体は版番号だけの表示を避けるよう求めている。
HDMI 2.1=仕様の版番号HDMI Specification 2.1(HDMI Forum)SDカードの「V30」と「U3」は同じ30MB/s——1枚に速度記号が3つ並ぶ理由
V30 と U3 はどちらも最低書込速度 30MB/s を指す。読んだ Physical Layer Simplified Specification 6.00 では速度クラスが3系統並存し(現行の SDA 一覧は SD Express を加え4系統)、バスは別軸で、ホストとカードが同じ方式を実装して初めて保証が成立する。
V30 / U3 = 最低 30MB/sSD Specifications Part 1 Physical Layer Simplified Specification Ver.6.00(SD Association)USB PDの「100W」と「240W」は、コネクタの形ではなく20V×5Aと48V×5Aで決まっている
USB PDの100Wは固定電圧20V×最大電流5A、240Wは48V×5A。100W超(EPR)には電流5Aを電子的に宣言するeマーカー付き認証ケーブルが要る。この数字はUSB-Cという形ではなく、規格が定めた電圧と電流の組み合わせで決まる。その出どころをUSB-IFの公開情報まで遡って読む。
100W=20V×5AUSB Power Delivery Specification(USB-IF / USB Promoter Group)Wi-Fi 6・6E・7 とは何か——番号は Wi-Fi Alliance の呼称、中身は IEEE 802.11
Wi-Fi 6・6E・7 の番号は Wi-Fi Alliance の呼称で、中身は IEEE 802.11ax/802.11be。6 と 6E の違いは規格ではなく 6GHz 帯を使うかどうか。世代番号は最大速度を保証しない。一次資料まで遡って確かめた。
Wi-Fi 6 = IEEE 802.11axWi-Fi CERTIFIED 6(Wi-Fi Alliance)/IEEE 802.11axLANケーブルの「CAT6A」が保証しているのは10Gbpsではなく500MHzという帯域
CAT5e=100MHz、CAT6=250MHz、CAT6A=500MHz。配線規格が定めているのは伝送周波数帯域であり、1Gbps・10Gbpsという速度はIEEE 802.3が別に決めている。しかもその帯域は「100mのチャネル」を前提に測った値である。この二層構造を規格の書誌から読む。
CAT6A(クラスEA)=500MHzISO/IEC 11801-1:2017 / JIS X 5150-1:2021(IDT)/ ANSI/TIA-568.2 シリーズ