電球色・昼白色・昼光色の境目はどこか — JIS Z 9112が相関色温度で引いた5本の線
照明売り場の「電球色」「昼白色」「昼光色」は、メーカーが雰囲気で付けた名前ではありません。日本産業規格 JIS Z 9112「蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分」が、相関色温度の範囲で区切った区分名です。電球色は2600〜3250K、昼白色は4600〜5500K、昼光色は5700〜7100K。この3つの間に、温白色(3250〜3800K)と白色(3800〜4500K)が挟まっていて、全部で5区分あります。
つまり「電球色」は1つの色ではなく、650Kの幅を持つ帯です。そして帯と帯の間には、どの区分にも属さない隙間もあります。その線がどこに引かれているのか、読める資料まで遡って確かめていきます。
資料には何が書かれているか — 5区分は相関色温度の帯
規格の書誌から確認します。JIS Z 9112の制定は1966年3月1日。蛍光ランプの時代に生まれた区分です。現行版は2019年12月20日改正のJIS Z 9112:2019で、2024年10月21日に確認され、有効です。原案を作ったのは日本規格協会と照明学会。適用範囲は一般照明用の蛍光ランプ、LEDモジュール、電球形LEDランプ、GX16t-5口金付直管LEDランプで、それ以外のLED光源にも準用できると書かれています。60年前に蛍光ランプ用として引かれた線が、いまはLEDの箱にそのまま印刷されています。
JIS Z 9112:2019(転載本文にもとづく要旨)|資料の記述(要旨)(要旨)光源色は、相関色温度の範囲によって昼光色(5,700〜7,100K)、昼白色(4,600〜5,500K)、白色(3,800〜4,500K)、温白色(3,250〜3,800K)、電球色(2,600〜3,250K)の5区分に分ける。光源色の範囲は、あわせてxy色度図上の色度範囲としても定める。光源色による区分とは別に、演色性による区分を置く。
この5行の数値をそのまま並べ直すと、見落としやすい事実が2つ出てきます。
1つめは、境界を共有している区分と、していない区分があることです。電球色の上端3250Kは温白色の下端と同じ値、温白色の上端3800Kは白色の下端と同じ値です。ここまでは帯が連続しています。ところが白色の上端4500Kと昼白色の下端4600Kの間には100K、昼白色の上端5500Kと昼光色の下端5700Kの間には200Kの開きがあります。4550Kや5600Kの光は、この表のどの区分にも入りません。区分名で呼べない色温度が、規格上、実在します。
2つめは、区分が点ではなく幅を持っていることです。同じ「電球色」を名乗る製品でも、2600Kと3250Kでは色みがはっきり違います。2600Kは白熱電球のようなオレンジみの強い光、3250Kは温白色との境目にある、だいぶ白に寄った光です。区分名が同じであることは、色が同じであることを保証しません。
数値の裏取りとして、メーカーの説明も突き合わせました。パナソニックのFAQは、JIS Z 9112に基づく5区分として同じ範囲(昼光色5700〜7100K、昼白色4600〜5500K、白色3800〜4500K、温白色3250〜3800K、電球色2600〜3250K)を掲げています。参照しているのは2012年版ですが、範囲の数値は2019年版と一致します。岩崎電気のライティング講座も、2019年版を挙げて同じ5グループの区分を説明しています。転載本文とメーカー2社の記述が、同じ数字でそろいました。
定義の表
| 試験条件の項目 | 規定されている値・条件 | 注記 |
|---|---|---|
| 電球色(記号L) | 2,600〜3,250K 二次資料で確認 | 幅650K。下端は白熱電球のようなオレンジみ、上端はかなり白に寄る |
| 温白色(記号WW) | 3,250〜3,800K 二次資料で確認 | 電球色と境界値3,250Kを共有。店頭では影が薄いが規格上の正式な区分 |
| 白色(記号W) | 3,800〜4,500K 二次資料で確認 | 温白色と境界値3,800Kを共有 |
| 昼白色(記号N) | 4,600〜5,500K 二次資料で確認 | 白色の上端4,500Kとの間に100Kの隙間がある |
| 昼光色(記号D) | 5,700〜7,100K 二次資料で確認 | 昼白色の上端5,500Kとの間に200Kの隙間がある |
| 区分のもう一つの条件 | xy色度図上の色度範囲 二次資料で確認 | 色温度が範囲内でも色度範囲を外れれば区分に入らない。座標の数値は当サイト未確認 |
| 演色性の区分 | 光源色とは別に規定(普通形・高演色形) 二次資料で確認 | 色の見え方の忠実さ(平均演色評価数Ra)の軸。具体値は本記事では扱わない |
| 規格の来歴 | 1966年3月1日制定・2019年12月20日改正・有効 一次資料で確認 | JSA書誌ページで確認。原案は日本規格協会・照明学会 |
この区分をどう読むか
いちばん多い誤解は、「昼光色がいちばん明るい」という読み方です。色温度と明るさは、規格の上で別の量です。色温度(K)が表すのは光の色みで、低いほど赤みを帯び、高いほど青みを帯びます。光の総量は、この数字には含まれていません。明るさを表すのは光束(lm)で、これは「60W形相当」という別の表示が担っています。
同じ810lmの電球なら、電球色でも昼光色でも、部屋に届く光の総量は同じです。昼光色が明るく「感じられる」ことはありますが、それは青白い光の印象の話で、カタログの明るさの数字は1lmも変わりません。パッケージの色温度と光束は、直交する2つの軸です。片方を動かしても、もう片方は動きません。
2つめの読みどころは、区分名の解像度です。「昼白色」と書かれた製品の色温度は、4600Kかもしれないし5500Kかもしれません。900Kの幅は、並べて点灯すれば目で分かる差です。リビングの照明を買い足したら、同じ昼白色なのに色が合わない——これは不良ではなく、区分が幅である以上、規格どおりの現象です。
色をそろえたい場所では、区分名ではなく仕様欄の色温度の数値(5000Kなど)までそろえる必要があります。区分名は5段階の粗い目盛りで、数値はその中の位置です。ちょうどボルトの強度区分が「10.9」という区分名の下に最小値・呼び値という別の数値を持っていたのと同じで、名前と数値は解像度の違う2つの層です。
3つめは、区分の隙間です。白色と昼白色の間の100K、昼白色と昼光色の間の200Kは、どの区分名でも呼べない領域です。ここに落ちる光源は「昼白色」とも「白色」とも表示できません。逆に言えば、メーカーが4600Kや5700Kという境界ぎりぎりの設計を選ぶのは、区分名を名乗るための条件を満たす位置だからです。区分の線は、製品の設計値のほうを規格に引き寄せます。なお、区分に入る条件は色温度のほかにもう一つあります。
規格は光源色の範囲をxy色度図上の色度範囲としても定めており、同じ色温度でも緑みや赤紫みに寄りすぎた光は範囲を外れます。色温度は区分の主軸ですが、唯一の条件ではありません。この座標の数値までは当サイトは確認できていないので、この記事では範囲の存在だけを述べます。
4つめは、5区分のうち2つ——温白色と白色——の影の薄さです。店頭の電球やシーリングライトの多くは電球色・昼白色・昼光色の3択で売られていますが、規格の表には温白色(3250〜3800K)と白色(3800〜4500K)が正式な区分として載っています。オフィスの蛍光灯で長く使われた「白色」や、飲食店の照明で選ばれる「温白色」は、消えた名前ではなく、いまも規格上の現役です。3択しか見たことがないとしたら、それは規格の区分ではなく、売り場の品ぞろえの結果です。
最後に、この区分の年齢です。1966年に蛍光ランプのために引かれた線が、2019年の改正でLEDにそのまま適用されました。発光の仕組みがまったく違う光源に同じ区分名を使えるのは、区分が「光源の作り」ではなく「光の色」という出口側で定義されているからです。区分の名前が測っているものを取り違えない、という点では、IPX7とIPX8が試験条件の名前であって性能の序列ではなかったのと同じ読み方が要ります。名前は、その裏の定義とセットで初めて意味を持ちます。
あなたの条件ならこう読み替える
寝室に電球色がよいか、勉強机に昼光色がよいか。どの色温度の照明を選ぶべきかという段になると、規格はもう何も言っていません。そこから先は好みと使い方の話です。規格が決めているのは、「電球色」と名乗ってよい光の範囲が2600〜3250Kである、という線引きだけです。この記事が確かめたのはそこまでで、線の内側でどれを選ぶかは、あなたの部屋の側にあります。
光源色の区分には、相関色温度の範囲に加えてxy色度図上の色度範囲という条件があるが、その座標の数値は当サイトが開いた資料からは読み取れなかった。演色性による区分(普通形・高演色形)のRaの基準値も、資料間で表現の揺れがあり、本記事では立ち入っていない。いずれも規格票正本(有償・未購入)の該当表によるべき事項である。
この数字について、よく調べられている疑問
JIS Z 9112:2019の光源色区分では、電球色が相関色温度2600〜3250K、昼白色が4600〜5500K、昼光色が5700〜7100Kです。間に温白色(3250〜3800K)と白色(3800〜4500K)があり、全部で5区分あります。いずれも1点の値ではなく幅で、同じ「電球色」の中にも650Kの開きがあります。
色温度と明るさは別の量です。色温度(K)は光の色みが赤いか青いかを表し、明るさは光束(lm)が表します。同じ光束なら、電球色でも昼光色でも部屋に届く光の総量は同じです。昼光色が明るく感じられるのは青白い光の印象によるもので、規格上の明るさの序列ではありません。明るさを変えたいときに見る数字はKではなくlmです。
5000Kは昼白色の範囲(4600〜5500K)に入るので、区分としては同じ昼白色です。ただし区分は幅なので、同じ昼白色でも4600Kの製品と5500Kの製品では色みが目に見えて違います。色をそろえたい場所には、区分名ではなく色温度の数値までそろえるのが確実です。
この記事の限界
- JIS Z 9112の規格票正本(日本規格協会発行・有償)は購入していない。本文の確認は転載サイト(kikakurui.com)とJSAの書誌ページ、メーカー・照明会社の公開解説による。正本との一字一句の照合はしていない。
- 光源色の区分は相関色温度の範囲に加えてxy色度図上の色度範囲(duvに相当する上下方向の制限)でも定められているが、その色度座標の数値までは当サイトが開いた資料から読み取れなかった。本記事は相関色温度の範囲だけを扱っている。同じ色温度でも色度範囲を外れる光は区分に入らないため、色温度だけで区分が確定するわけではない。
- 演色性による区分(普通形・高演色形)の平均演色評価数Raの具体的な基準値は、参照した資料の間で表現に揺れがあり、確定できた範囲で書いた。蛍光ランプとLEDでは区分の立て方が異なる。詳細な数値は規格本文の該当表によるべきで、本記事では立ち入っていない。
- JSAの書誌ページには対応国際規格の記載があったが、規格番号までは読み取れなかった。本記事では国際規格との対応関係を扱っていない。
- 1966年の制定時にどんな区分だったか、5区分がいつ現在の範囲になったかという改正の経緯は確認できていない。パナソニックのFAQは2012年版を参照しており、範囲の数値は2019年版と一致することのみ確認した。
- 店頭の商品でどの区分の表記がどれだけ使われているかという流通の実態は、当サイトは調べていない。
出典
- JIS Z 9112:2019 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分/ 日本規格協会 JSA Group Webdesk / 2026-07-24 確認
- JIS Z 9112:2019(転載本文)/ kikakurui.com / 2026-07-24 確認
- LEDの光源色はどのように区分されていますか/ パナソニック / 2026-07-24 確認
- 蛍光ランプ及びLEDの光色と演色区分/ 岩崎電気 / 2026-07-24 確認
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